技術の確かさは、パッケージからでもわかります。

高級感あるチョコレート、フルーツで綺麗に作り込まれたタルト、誕生日やクリスマスに花を添えるデコレーションケーキ。
これらの華やかな洋菓子に、無くてはならないものは、気持ちを伝え演出するパッケージ。
長年、洋菓子店、和菓子店のパッケージ造りに携わり、多くの有名洋菓子店和菓子店のパッケージ造りを手がけてきた株式会社田嶋の西尾修一専務に、パッケージから見るマカロンの難しさについてお話を伺った。
株式会社田嶋について
(株)田嶋 西尾氏
株式会社田嶋は、昭和32年創業の名古屋に本社を置く包装資材を扱う商社です。
特に洋菓子店、和菓子店に力を入れており、お店のイメージ、オーナーの意向、商品などに合わせて、ロゴデザインのお手伝いから、包装紙、パッケージ類のデザイン提案を通して、お店の売上、お店のイメージアップのご協力をさせていただいているのが私どもの会社です。
若い頃から営業として洋菓子店の現場へ足を運び、それこそ多種多様な洋菓子の制作風景を見る機会にも恵まれましたが、中でも「オーナーパティシエ」と呼ばれるお客様のお菓子に対するこだわりは、どの方も並々ならぬものがあり、そういった作り手の思いを受け止め、気持ちをくるむ、包装紙やパッケージに於ける「作り手とお客様を繋ぐ責任」というものを忘れず、時代にマッチした確かな提案を心がけています。
マリエ・ドゥ・ヒロにも多くのパッケージを納品してます。
時代にマッチする、ということについて
洋菓子はご覧いただいておわかりになるように、強烈なファッション性があります。ファッションはその時その時の時代を映す鏡でもあるため、お菓子も時代にマッチしたり、ブームが生まれることもあるわけです。
洋菓子での現在のブームというのは
ブームといえるかどうかは微妙ですが、非常に注目され多くのお店が手がけだしているものは間違いないく「マカロン」です。
カラフルで、ファッション性も高く、生菓子ではなく焼き菓子ですので、それなりの日持ちもするためギフトにも使いやすい要素があり支持を集めているのだと思います。
マカロンの制作現場を見て、感じることはありますか?
実際にお店にうかがい、マカロンの制作時間に居合わせることも数多くあります。
その時々に必ず思うことは「マカロンは手間暇がかかり、歩留まりが悪い非常に難しい焼き菓子だ」ということですね。
生地造りがまず特殊なわけです。そのあたりは私はプロではないので上手く説明はできません。ですがアーモンドプードルを使う関係上メレンゲとの兼ね合いが有り、生地が早くだれてしまうことから、私のような素人にもわかることがあります。
↑ きれいな円形で「トレイ」に入れてある
マリエのマカロン
↑ きめが細かいので包丁で切れます。
それは「形」に関してです。マカロンは型に入れて焼くわけではなく、絞り袋で生地を絞ってから焼くため、焼き上がった時の大きさがイメージ通りにならず、大きさや形が揃わないことがあるわけです。
おまけにマカロンは、ジャムやクリームをサンドするお菓子なので、上下2個必要になるわけです。上と下が違う大きさでは商品になりませんよね。そして一個ずつがパッケージに合うサイズでないと「売れる商品」になりません。きちんと大きさの選別をすると、売り物にならない商品が出るため、結果的に歩留まりが悪くなるというわけです。
マカロンのサイズが大きくなればなるほど、焼き上がった時の形の違いがより一層目立ちます。大きくマカロンを絞るということは、高度な技術が要求されているのだと思います。見た目が小さく可愛いマカロンよりも、大きなマカロンの方が歩留まりが悪いといいましたが、それをわかった上であえてこの大きさにこだわるというのは、技術に裏打ちされた自信の表れだと思います。
そういった意味では廣瀬さんの作る「ひみつのマカロン」は比べていただくとわかるように大きいタイプのものです。
マカロンのパッケージを提案する場合、こういった大きさや形の均質性をまずチェックするわけですが、美しく均一に見せるために一般的には「深い箱」を提案させていただいています。箱が深ければ、マカロン一つずつの大きさの不均一さが目立ちにくいといった利点があるからです。
そういった観点から見れば広瀬さんの作るマカロンがきわめて特殊だといえます。
今回、ネット販売されるということで、パッケージ企画としては美しく見えることはもちろん、輸送に際してマカロンが割れたりしないということを最大のポイントにしたのでパッケージそのものの違いはわかりにくいのですが、届きましたマカロンをパッケージから取り出し、よくマカロンをご覧下さい。
一つずつトレイに入れ個包装されています。

トレイの大きさは決まっています。
このトレイよりも大きくてはマカロンが収まりませんし、小さくてはトレイの中でマカロンが遊んでしまい、見栄えが悪くまた割れの原因にもなりかねません。
そのようなリスクを負ってまで、ひとつひとつトレイに入れ個別に包装し販売するということは、数ある私のお客様の中でも廣瀬さんただ一人ですし、廣瀬さんの技術がが並々ならぬものであること、歩留まりが悪くなってもお客様に最高のものを味わっていただきたいという、職人としての「心意気」だと思います。
マカロンは技術の確かさがパッケージからもわかるパティシエ泣かせのお菓子かもしれません。
最後に今後の期待を

廣瀬さんのウェブサイト「ひみつのマカロン」は、廣瀬さんの焼き菓子に対する真摯さの一つの表現だと思います。
生菓子に比べてどうしても軽んじられがちな「焼き菓子」ですが、焼き菓子のおいしさと奥の深さを多くの人にわかって欲しい、焼き菓子の秘密に触れて欲しいという昔と変わらないその気持ちを、私どもの提案するパッケージに包み込み、多くのお客様に届けていただけたらと思います。
本日はお忙しい中ありがとうございました。
- 取材 (有)マインドファクトリー



